中古車ディーラーに「保証対象外」と言われたら?法定保証はどこまでカバーする?【オーストラリア】

オーストラリアの中古車ディーラーで車を買って1か月ほどで不具合が出ました。
お店に持ち込んだら「それは保証の対象外です」と言われてしまいました。買ったばかりなのに、自費で直すしかないのでしょうか?そもそもディーラーの保証って、どこまでカバーしてくれるものなんですか?
「保証対象外です」。中古車トラブルの現場で、よく聞くセリフです。そして、このセリフを聞いて諦めてしまう方が、最も多いのも事実です。
でも、少し待ってください。「対象外」という言葉には、本当に対象外の場合と、そうでない場合が混ざっています。そして仮に法定保証の対象外だったとしても、それで話が終わりとは限りません。
- 法定保証(Statutory Warranty)の仕組みと、対象になる車の条件
- 何がカバーされ、何が対象外なのか(消耗品ルール)
- 「対象外」と言われたときに、順番に確認すべき3つの問い
まず整理:「ディーラーの保証」は1つじゃない
話を始める前に、大切な整理です。オーストラリアで中古車をディーラーから買うと、性質の違う保護が重なって付いてきます。別記事「中古車販売店とトラブルになった」でくわしく解説した「3層の保護」です。
- 消費者保証(Consumer Guarantees/ACL):全国共通・すべての車に自動適用。契約で排除できない
- 法定保証(Statutory Warranty):州の法律により、条件を満たす中古車に自動的に付く保証。今回の主役はこれ
- 任意保証:メーカー保証や、追加料金の延長保証

ディーラーが「保証対象外」と言うとき、どの保証の話をしているのかで意味がまったく変わります。多くの場合、彼らが指しているのは②か③だけ。①の消費者保証は、②③がどうであれ別に存在します。この構造を頭に置いて、②法定保証の中身を見ていきましょう。
法定保証(Statutory Warranty)とは:州の法律が自動で付ける保証
法定保証は、免許を持つディーラーから条件を満たす中古車を買った場合に、州の法律によって自動的に付く保証です(NSWでは「ディーラー保証(dealer guarantee)」とも呼ばれます)。契約書に書いていなくても、追加料金を払っていなくても、法律の力で付いてきます。保証期間中に対象の欠陥が見つかれば、ディーラーは自らの費用で修理する義務を負います。
ただし、すべての中古車に付くわけではありません。対象になるかは、州ごとに次のような条件で決まります。

- 年式と走行距離:多くの州で「一定の年式より新しく、走行距離が一定以下」の車が対象です。基準を超える古い車・多走行車は対象外になる州が多い一方、QLDのように対象から外すのではなく、古い車は保証期間を短くする方式の州もあります
- 販売価格:一定価格以下の車には保証が付かない(その旨の掲示が義務づけられる)州もあります
- 期間の数え方:保証は「購入から数か月」または「数千km走行」のどちらか早い方まで、という形式が一般的です。具体的な月数・km数は州によって異なります
つまり「うちの店は保証を付けていない」という説明は、条件を満たす車については通用しません。法定保証は店が付けるものではなく、法律が付けるものだからです。あなたの車が条件に入っているかどうかは、お住まいの州の消費者保護当局のサイトで確認できます。
何が対象で、何が対象外?消耗品のルール

法定保証がカバーするのは、大づかみに言えば車が安全に走るための主要な機構です。エンジン、トランスミッション、駆動系といった重大な故障、予見できず、修理費も高額になりがちな部分のためにある保証だと考えてください。
一方で、次のようなものは対象外とされるのが通例です(具体的なリストは州によって異なります)。
- 消耗部品(wear and tear):タイヤ、バッテリー、ブレーキパッドやクラッチ関連の部品など、使えば減るのが前提のもの
- アクセサリー・快適装備:ラジオやナビ(GPS)、電源ソケットなどの装備品
- 外装・内装:塗装、シートなどの内装、ライト類が除外される州もあります
この「消耗品ルール」には合理性があります。中古車である以上、減っていく部品まで保証したら、際限がないからです。ですから、「タイヤは対象外」は本当のことが多い。問題は、この正しい説明に紛れ込ませて、本来カバーされるべき故障まで「対象外」と言われるケースがあることです。
「対象外」と言われたら:順番に確認する3つの問い
ここが本題です。ディーラーの「対象外」を、次の3つの問いで順番に検証してください。
問い① そもそも法定保証の条件に入っている?
購入日と現在の走行距離を確認し、まだ保証期間内か(数か月/数千kmの早い方)、そして車が年式・走行距離・価格の条件を満たしていたかを、州の当局サイトで照らし合わせます。期間内なら次へ。期間を過ぎていても、まだ問い③が残っています。
問い② その「対象外」は、法律のリストに本当に載っている?
ディーラーの口頭説明ではなく、州の法律が定める除外項目のリストで確認します。「エンジン系の故障なのに対象外と言われた」など、走行の主要機構に関わる不具合が消耗品扱いされていたら、それは争う価値があります。故障箇所と原因を整備士の診断書(書面)にしてもらうと、「これは消耗ではなく欠陥」という主張の裏付けになります。
問い③ 法定保証がダメでも、消費者保証(ACL)は?
ここが最後の砦であり、多くの人が知らない一手です。法定保証が適用されない場合(期間切れ・条件外・除外項目)でも、ACLの消費者保証は別途適用され得ます。車が価格や年式に照らして「許容できる品質」を満たしていなければ、法定保証とは無関係に、修理・交換・返金を求める道が残っています。「法定保証の対象外=何も請求できない」ではないのです。
逆のパターンにも注意。「対象外」の説明が正しい場合も、もちろんあります(買って2週間でタイヤがすり減った、ラジオの調子が悪い、など)。すべてを争うのではなく、走行に関わる重大な不具合かどうかで見極めるのが、労力を無駄にしないコツです。
進め方【4ステップ】期間が短いので急いで行動する

法定保証は数か月/数千kmの短い保証です。「今度の週末に」と後回しにせず、気づいたその日にメールで「いつ・どんな不具合が出たか」をディーラーに通知し、記録を残します。期間内に申告した事実そのものが、あなたの権利を守ります。
故障の箇所・原因・「消耗ではなく欠陥と考えられるか」を書面にしてもらいます。ディーラーの言い分と食い違うときの、最強の反証材料です。
Fair Trading等の当局は、法定保証の適用について案内し、ディーラーとの間に入ってくれることもあります。
州のトライビュナル(QLDならQCAT、NSWならNCATなど)に、修理を命じる決定を求めて申し立てられます。ディーラーがトライビュナルの命令に従わない場合、免許の停止・取消につながる行政処分もあり得ます。免許で商売をしているディーラーにとって、これは重い圧力です。
よくある質問
- 契約時に延長保証(有料)を勧められました。法定保証があるなら不要では?
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役割が違います。法定保証は期間が短く、対象も主要機構に限られます。延長保証はその後・その外側をカバーする商品ですが、内容は商品ごとに大きく異なり、除外項目だらけのものもあります。買う場合は約款(何が対象外か)を必ず確認し、「消費者保証(ACL)は延長保証がなくても存在する」ことを前提に、価格に見合うかを判断してください。
- 買ってすぐタイヤがパンクしました。法定保証で直せますか?
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タイヤは消耗品として対象外が通例で、通常のパンクは難しいでしょう。ただし、販売時点ですでに危険なほどすり減っていた・整合しない状態だったという場合は、ロードワーシーの問題や消費者保証の観点から、別の議論ができる余地があります。「いつからその状態だったか」がポイントです。
- 隣の州のディーラーで買いました。どちらの州の法定保証が適用されますか?
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基本的には、購入した(ディーラーが免許を持つ)州の法定保証の枠組みが基準になります。州をまたぐと手続きの窓口も変わり複雑になりやすいので、書類を揃えたうえで、購入州の消費者保護当局かJACSにご相談ください。
まとめ:「対象外」の一言で、引き下がらない
- 法定保証は法律が自動で付ける保証。条件(年式・走行距離・価格)と期間(数か月/数千kmの早い方)は州ごとに決まっている
- カバーの中心は走行の主要機構。タイヤ・バッテリー等の消耗品や装備品は対象外が通例
- 「対象外」と言われたら3つの問いで検証。法定保証がダメでも消費者保証(ACL)という別の道が残っている
オーストラリアの中古車には、あなたが思っているより多くの保護が付いています。「対象外」という一言は、検証してから受け入れても遅くありません。

「これは対象?対象外?」の切り分けだけでもお手伝いできます。契約書と診断結果を手元に、保証期間が過ぎる前にご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。制度や法律は州により異なり、変更されることがあります。個別の状況については、JACSまたは各州の消費者保護当局・専門家にご相談ください。








