車の名義変更が済んでいない/相手がやってくれない時の対処法【オーストラリア】

車を売買したのに、名義変更(transfer)が済んでいません。相手が手続きをやってくれず、どうすればいいのか困っています。このまま放っておいて大丈夫なのでしょうか?
これは放置してはいけない、急ぎの問題です。名義変更が済まないままだと、売主・買主の双方にとって不利益が続きます。特に売主の場合、買主が手続きをしてくれないと、駐車違反やスピード違反、通行料(toll)、登録費までが旧所有者であるあなたに届き続けることになりかねません。
でも、対処法はあります。しかも、多くの方が知らない大切なポイントがあります。この記事では、次のことがわかります。
- 名義変更が「2つの別々の手続き」でできているという仕組み
- 売主・買主それぞれの立場で、相手が協力してくれないときの対処法
- すでに罰金などが届いてしまった場合の対応と、予防策
まず理解:名義変更は「2つの別々の手続き」
ここが最も大切で、そして多くの人が誤解しているポイントです。車の名義変更は、実は1つの手続きではなく、売主側と買主側で別々の2つの手続きでできています。

- 売主側の手続き:処分通知(Notice of Disposal)
「私はこの車を手放しました」と交通当局に届け出るもの。売主を守るための手続きです - 買主側の手続き:登録の名義変更(Transfer)
車の登録(rego)を自分の名義に移すもの。手数料やスタンプデューティ(印紙税)の支払いを伴います
この2つは独立しています。片方をやっても、もう片方は自動的には完了しません。「売ったんだから、あとは買主がやってくれるだろう」と売主が放置すると、後で困るのはこのためです。
手続きの期限、手数料、スタンプデューティ(印紙税)の金額、必要書類は州によって異なります。売却・購入後は速やかに、お住まいの州の交通当局(Service NSW、VicRoads、Queensland Transport and Main Roadsなど)で最新のルールを確認してください。
【あなたが売主の場合】買主が名義変更してくれない
最も深刻で、急を要するケースです。車を売ったのに買主が名義変更をしてくれないと、登録上はまだあなたが「登録名義人(registered operator)」のまま。その結果、買主が起こした駐車違反・スピード違反・通行料・登録費などが、旧所有者であるあなたに請求され続けるおそれがあります。
ここで、多くの人が知らない大切な解決策があります。
買主の名義変更を待つ必要はありません。売主であるあなた自身が「処分通知(Notice of Disposal)」を出せばよいのです。
処分通知は買主の手続きとは独立して、あなた単独で提出できます。これを出しておけば、以後に買主が起こした違反や通行料について、あなたは責任を問われないと各州の当局は案内しています。
今すぐやること
- 州の交通当局に処分通知を提出する
多くの州でオンライン提出が可能です。買主の氏名・住所・免許番号(またはカスタマー番号)、売却日、売却価格などの情報が必要になります。だからこそ、売買時にこれらを控えておくことが重要です - 売買の証拠を保存する
領収書、売買契約、買主とのやり取り。可能なら、引き渡しのときに双方の免許・登録証・書類を並べて写真に撮っておくと確実です
州によっては、売却後の一定期間内に処分通知を出すよう定められています。期限を過ぎると遅延手数料がかかったり、その間の責任を問われたりすることがあります。「あとで」ではなく売却したその日のうちに提出するのが最も安全です。
【あなたが買主の場合】売主が協力してくれない

逆に、あなたが買主で、売主が協力してくれずに名義変更が進まないケースもあります。名義変更には、州によって売主側の情報や書類(登録証、売主のサインなど)が必要になることがあり、売主の協力が欠かせません。
さらに州によっては、売主が処分通知を出すまで、買主がオンラインで名義変更できない仕組みになっていることがあります(NSWなど)。この場合、まず売主に処分通知の提出をお願いする必要があります。
名義変更をしないまま放置すると、買主であるあなたにも不利益があります。車が正式にあなたの名義にならず、将来その車を売るときや、保険・登録の手続きで支障が出ます。遅延手数料がかかることもあります。
今すぐやること
- 売主に処分通知の提出を依頼する
メールやメッセージなど、記録に残る形でお願いします。売主にとっても、処分通知を出すことは自分の身を守ることになる(以後の違反の責任を負わずに済む)と伝えると、応じてもらいやすくなります - 売買の書類・やり取りを保存する
売買契約書、領収書、広告、メッセージ。名義変更や、後のトラブル対応で重要な証拠になります - 売主と連絡が取れない場合は、州の交通当局に相談する
事情を説明し、どんな書類があれば手続きを進められるか、代替の方法はあるかを確認します。売買の証拠が手元にあると相談がスムーズです
こじれたとき:未払いの罰金や費用が来てしまったら
すでに旧所有者(売主)のもとに、買主が起こした違反の通知や通行料の請求が届いてしまった。そんな場合でも、対応できます。
多くの違反通知には、「自分は運転者ではなかった」「すでに車を売却していた」と申し立てる手続きが用意されています。ここで、売買の証拠(売却日のわかる領収書や契約、処分通知を出した記録)が力を発揮します。証拠があれば、「その時点で自分はもう所有者ではなかった」ことを示せます。
手続きの方法がわからない、当局とのやり取りが英語で不安、という場合は、次のような窓口があります。
- 州の交通当局(違反通知・登録に関する窓口)
- 州の消費者保護当局(売買トラブルとして相談する場合)
- 解決しない場合は、州の少額裁判所やトライビュナルという選択肢
予防策:トラブルを未然に防ぐ

名義変更のトラブルは、その多くが「あとでやろう」と先延ばしにしたことから起きます。次のことを実践すれば、ほとんどのトラブルは防げます。
- 引き渡しの場で、両方の手続きをその場で完了させるのが理想。売主・買主が一緒に、処分通知と名義変更をオンラインで済ませてしまう
- 双方の免許・登録証・書類・領収書を並べて写真に撮る。売主・買主どちらの身も守る、簡単で確実な方法です
- 売主は処分通知を「その日のうちに」出す。買主の手続きを待たず、自分の分だけでも先に完了させておく
よくある質問
- 処分通知と名義変更、両方とも必要ですか?
-
はい、役割が違うため両方必要です。処分通知は売主が「手放した」ことを届け出て自分を守る手続き、名義変更は買主が車を自分の名義にする手続きです。一方をやっても、もう一方は完了しません。
- CTP(グリーンスリップ)はどうなりますか?
-
州によりますが、NSWなどでは登録の名義変更が行われると、CTP(強制保険/グリーンスリップ)は自動的に新しい所有者へ引き継がれます。売主・買主とも特別な手続きは不要とされています。ただし任意の車両保険(Comprehensive)は別途、各自で手続きが必要です。
- 家族に無償で譲る場合も手続きは必要ですか?
-
はい。売買でなく贈与(gift)であっても、処分通知と名義変更の手続きは必要です。州によっては、家族間の譲渡についてスタンプデューティの免除・軽減がある場合もあるので、あわせて確認するとよいでしょう。
まとめ:売主は「処分通知」で自分を守る
- 名義変更は「売主の処分通知」と「買主の名義変更」の2つの別手続き。片方では完了しない
- 売主は、買主を待たず自分で処分通知を出せば、以後の違反や通行料の責任から自分を切り離せる
- 買主は売主に処分通知を促し、売買の証拠を保存。連絡が取れなければ州の当局に相談する
名義変更のトラブルは、正しい手続きを知って早めに動けば、こじれる前に解決できます。すでに罰金が届いてしまった場合でも、あきらめる必要はありません。

「もう違反通知が届いてしまった」という段階でも大丈夫です。売買の書類を手元に、まずはお気軽にご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。制度や法律は州により異なり、変更されることがあります。個別の状況については、JACSまたは各州の消費者保護当局・専門家にご相談ください。








