中古車販売店とトラブル(契約と実態が違う・保証してくれない)対処法【オーストラリア】

中古車販売店(ディーラー)で車を買いました。
ところが、契約のときに聞いていた内容と実際が違っていたり、不具合が出たのに「保証はない」と修理を断られたりして、販売店とトラブルになっています。
お店が「無理」と言う以上、もうどうしようもないのでしょうか?
結論からお伝えします。
ディーラー(免許を持つ販売店)で買ったのなら、あなたには強力な味方がついています。それは「法律」です。
JACSの別記事「個人売買で購入した車が故障した」では、「個人売買は消費者法の保護が効かない」というのが結論でした。
しかしディーラー購入は、まさに正反対。事業者から買った場合は、オーストラリア消費者法(ACL)の強い保護が自動的に適用されます。
同じ「車のトラブル」でも、誰から買ったかで結果がまったく変わるのです。
この記事では、次のことがわかります。
- ディーラー購入にある「3つの保護」の仕組み
- 「契約と実態が違う」「保証してくれない」それぞれへの対処法
- 販売店の”逃げ口上”に惑わされないための知識と相談先
大前提:ディーラー購入には「3つの保護」がある
まず、あなたを守る保護の全体像を理解しましょう。ディーラーから車を買うと、次の3層の保護が働きます。

- 消費者保証(Consumer Guarantees):ACLにより、ディーラーから買ったすべての車に自動的に付く保護。「車が許容できる品質であること」「説明どおりであること」などが法律で保証されます。契約書の文言や店員の発言で取り除くことはできません。
- 法定保証(Statutory Warranty):中古車の年式や走行距離などの条件を満たす場合に、州ごとのルールで自動的に付く保証。条件や期間は州によって異なります。
- 任意保証(Voluntary / Extended Warranty):メーカー保証や、追加料金で買う延長保証。これらは①②に「上乗せ」されるもので、①②の権利を置き換えたり減らしたりはできません。
ここが最重要です。お店に「保証はありません」「保証期間が切れています」と言われても、①の消費者保証は別物として必ず存在します。
「保証なし」という一言を信じて諦めてしまう方が非常に多いのですが、それは正しくありません。
【ケースA】
契約内容と実際が違う
「事故歴なしと言われたのに事故車だった」「ワンオーナーと聞いたのに違った」「整備済みのはずが不具合だらけ」——広告やセールストークと実態が食い違うケースです。
ここで個人売買との決定的な違いが出ます。ディーラーは事業者(in trade or commerce)なので、個人売買では使えなかったACLの「誤認させる行為・虚偽の表示」に関するルールが適用されます。
事業者が、消費者を誤認させるような表示や説明をすることは法律で禁じられています。
このルールにはいくつか心強い特徴があります。
- 故意かどうかは問われない:お店に「騙すつもりはなかった」という言い分があっても、結果として消費者を誤認させたなら問題になり得ます
- 沈黙や”半分だけの真実”も対象になり得る:重要な事実を伝えなかった、都合のいい部分だけ説明した、という場合も誤認を招いたと判断されることがあります
- 契約書にサインしていても争える:誤認に基づいて契約したのであれば、サイン済みでも主張できる余地があります
だからこそ、広告のスクリーンショット、セールストークのやり取り、契約書の控えが重要な証拠になります。「言った・言わない」を避けるため、記録に残すことが鍵です。
【ケースB】保証してくれない・修理を拒否される
最も多いのがこのケースです。販売店がよく使う”逃げ口上”を、一つずつ見ていきましょう。多くは、知っていれば反論できるものです。
「保証期間が切れている」と言われた
これは①の消費者保証と③の任意保証を混同させる言い方です。
メーカー保証や延長保証(任意保証)が切れていても、消費者保証は別に存在し、より長く続くこともあります。
保証期間が切れていても、車が「許容できる品質」を満たしていなければ、修理・交換・返金を求められる場合があります。
「それは保証の対象外だ」と言われた
任意保証の約款で「対象外」とされている故障でも、消費者保証ではカバーされることがあります。
「画面のひび割れは保証対象外」のような個別の除外規定があっても、消費者保証の観点では別途守られる可能性がある、ということです。
任意保証の小さな文字だけで判断しないようにしましょう。
修理・交換・返金、どれを求められる?
これは故障が「重大(major failure)」か「軽微(minor failure)」かで変わります。ここはとても大切なポイントです。

- 重大な欠陥(major failure):安全に関わる故障や、知っていたら買わなかったような重大な問題。この場合、消費者の側が「交換」か「返金」かを選べます
- 軽微な欠陥(minor failure):販売店が無償で修理します。ただし合理的な期間内に直さなければ、消費者が交換・返金を求められるようになります
たとえば、カーラジオが動かない程度なら軽微な問題ですが、製造上の欠陥でブレーキが効かないようなケースは重大な問題にあたります。
複数の小さな不具合が積み重なって、全体として「重大」と評価されることもあります。
例外もあります。購入前にお店から告知されていた欠陥や、購入前の点検(自分や整備士による下見)で気づけたはずの欠陥は、原則として消費者保証の対象外です。だからこそ、購入前の点検と、告知内容の書面確認が大切になります。
今すぐやるべきこと【4ステップ】
売買契約書、広告のスクリーンショット、セールスマンとのメッセージやメール。「契約と実態が違う」を示す最重要の証拠です。
故障の内容・原因・修理見積もりをレポートとして受け取ります。客観的な記録が交渉力になります。
口頭ではなく、メールや手紙で「どの保証に基づき」「何を求めるのか」を伝えます。販売店には、消費者保証に応じる機会を与える必要があります。
州の消費者保護当局やトライビュナルという選択肢があります。次の章で解説します。
それでも解決しないときの相談先

販売店が応じない場合でも、打つ手はあります。
- 州の消費者保護当局:NSW Fair Tradingなど、各州の消費者保護機関に相談できます。まずはここが窓口です
- 州のトライビュナル:QCAT(QLD)やNCAT(NSW)などの行政審判所。免許を持つディーラー相手なら、これらの機関が紛争を扱えます
- ライセンス制度の存在:ディーラーは免許制で、悪質な場合は免許停止・取消などの行政処分の対象になります
ここでも個人売買との違いが出ます。個人売買のトラブルはトライビュナルが扱えないことが多いのですが、ディーラー相手なら扱ってもらえます。これは大きな差です。
「この不具合は重大?軽微?」「お店にどう切り出せばいい?」「申立てはどこにすればいい?」
判断に迷ったら、契約書と見積書を一緒に確認するだけでも、取れる選択肢が見えてきます。
よくある質問
- 契約書に「保証なし(no warranty)」と書いてありました。もうダメですか?
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いいえ。ACLの消費者保証は、契約書の文言や店員の発言で取り除くことはできません。「保証なし」と書いてあっても、車が許容できる品質を満たしていなければ、修理・交換・返金を求められる場合があります。諦める前にご相談ください。
- クーリングオフ(契約のキャンセル)はできますか?
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クーリングオフ制度の有無や期間は州によって大きく異なり、ある州とない州があります。「あるはず」と思い込むのは危険です。お住まいの州の制度を必ず確認してください。なお、消費者保証や「誤認させる行為」に関する権利は、クーリングオフとは別に主張できます。
- 英語で販売店と交渉する自信がありません。
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多くの方が同じ不安を抱えています。まずは「消費者保証に基づいて対応してほしい」と書面で伝えるだけでも一歩前進です。
まとめ:ディーラー購入なら、法律があなたの味方
- ディーラー購入には消費者保証・法定保証・任意保証の3層の保護がある
- 「保証はない」「期間が切れている」と言われても、消費者保証は契約で排除できない
- 重大な欠陥なら交換・返金を選べる。証拠を集め、書面で申し入れ、解決しなければ州の機関へ
同じ「車のトラブル」でも、ディーラーから買ったのなら、あなたには法律という強い味方がいます。お店の言葉だけで諦めず、まずは状況を整理してみましょう。

「これは消費者保証で守られるの?」という段階でも大丈夫です。契約書を手元に、まずはお気軽にご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。制度や法律は州により異なり、変更されることがあります。個別の状況については、JACSまたは各州の消費者保護当局・専門家にご相談ください。








