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保険会社に補償を拒否された/過失割合に納得できない時の対処法【オーストラリア】

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ご相談内容

交通事故に遭いました。相手もいるのに、なぜか補償が受けられません。

保険会社に連絡しても支払いを断られたり、過失割合(どちらがどれだけ悪いか)に納得がいかなかったりして、どうすればいいのかわかりません。

保険料を払ってきたのに、いざという時に守ってもらえないのでしょうか?

「保険会社から補償を拒否された」というご相談は、JACSに寄せられるトラブルの中でも多く、そしてあきらめてしまう方が一番多いテーマでもあります。

しかしオーストラリアには、消費者が無料で使える独立した救済制度が整っており、泣き寝入りする必要はありません。

この記事では、次のことがわかります。

この記事で分かること
  • あなたのケースが「2つのルート」のどちらに当たるかの見分け方
  • 自分の保険会社に拒否されたときの、2段階の異議申立て制度(IDRとAFCA)
  • 事故相手から補償が受けられないときの仕組みと、過失割合への対処法
目次

まず確認:あなたのケースはどちら?

「補償が受けられない」と一口に言っても、実は性質のまったく異なる2つの問題が混ざっています。

対処の相手も方法も違うので、まずはご自身がどちらに当てはまるかを整理しましょう。

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ルートAルートB
どんな状況?自分が契約している保険会社が、自分への支払いを拒否した事故相手の保険会社や相手本人から、補償が受けられない/過失割合に納得できない
問題の本質自分と保険会社の「契約」の問題相手への「損害賠償の回収」の問題
主な解決の窓口保険会社の内部苦情処理 → AFCA相手の保険会社との交渉 → 少額裁判所など
ポイント

両方が絡むケースもあります(例:自分の保険を使ったうえで過失割合に不服)。その場合は両方のルートを並行して読み進めてください。

【ルートA】自分の保険会社に拒否された場合

自分が契約している保険会社が支払いを拒否したケースです。

まずやるべきことは、拒否の「理由」を書面で取り寄せることです。理由がわからなければ反論もできません。

保険会社には、どの条項・どの事実に基づいて拒否したのかを明確に説明する義務があります。

支払い拒否の理由は、主に次の4つに分類されます。

  • 告知義務違反(misrepresentation):契約時や請求時の申告に誤りや漏れがあった(改造・過去の事故歴・用途の申告漏れなど)
  • 免責条項・除外条項(exclusion):飲酒運転、レース使用、車検切れ車両の運転など、契約で対象外とされている事由
  • 契約の失効(cancelled policy):保険料の支払い遅延などで契約が切れていた
  • 詐欺(fraud)の疑い:保険会社が虚偽請求と判断した
注意

「詐欺(fraud)」を主張された場合は、ほかの手続きにも影響が及ぶ可能性があります。一人で対応せず、早めに専門家やJACSにご相談ください。

拒否理由が告知義務違反であっても、必ずしも保険会社の言い分が通るとは限りません。

たとえば「申告していても保険は引き受けられていた(ただし保険料は高くなっていた)」ようなケースでは、保険会社は拒否ではなく差額の請求にとどめるべきとされることがあります。

理由に納得できないときは、次の2段階の異議申立てに進みます。

STEP
第1段階:保険会社の内部苦情処理(IDR)

まずは保険会社自身の「内部苦情処理(IDR:Internal Dispute Resolution)」に正式な苦情を申し立てます。

すべての保険会社はIDR部門を持つことが法律で義務づけられており、原則として一定期間内(多くは30日以内)に最終回答を出す義務があります。

電話でも書面でも申し立てられますが、後の手続きのために、やり取りは記録に残る書面(メール等)で行うのがおすすめです。

申立ての際は、求める結果(支払ってほしい金額や対応)、何が起きたかの時系列、保険証券やPDS(商品開示文書)など関連書類を添えると、話が早く進みます。

STEP
AFCA(豪州金融苦情処理機構)への申立て

IDRの結果に納得できない場合、または期限内に回答がない場合は、AFCA(Australian Financial Complaints Authority)に申し立てることができます。

AFCAは、消費者と金融機関(保険会社を含む)の紛争を解決する、無料で独立した第三者機関です。

AFCAの大きな特長は、その決定に保険会社を拘束する力があることです

AFCAが「保険会社は支払うべき」と判断し、あなたがその決定を受け入れれば、保険会社はそれに従わなければなりません。

場合によっては、支払いに加えて遅延や精神的苦痛に対する補償が命じられることもあります。

手続きはオンライン・電話・郵送で行え、まずは概要を伝えるだけで申し立てられます。

ポイント

AFCAは原則として、先にIDR(内部苦情処理)を経ていることを求めます。いきなりAFCAに申し立てると、保険会社へ差し戻されることが多いので、順番を守りましょう。

なお、AFCAには申立ての期限(時効)があります。

一般に「IDRの最終回答を受け取ってから一定期間内」かつ「事故から一定期間内」といった制限があるため、迷ったら早めに申し立てるのが安全です。

具体的な期限はケースにより異なるので、必ず確認してください。

【ルートB】事故相手から補償が受けられない場合

ここは、日本から来た方が最も誤解しやすいポイントです。

日本の感覚で「相手がいるんだから相手の保険で直してもらえるはず」と思っていると、話がまったくかみ合わないことがあります。

まずオーストラリアの保険の仕組みを正しく理解しましょう。

大前提:オーストラリアの自動車保険の仕組み

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保険の種類主にカバーするもの自分の車の修理
CTP(グリーンスリップ/強制保険)事故による人の死傷(人身)対象外
Third Party Property(対物賠償)相手の車・財物への損害原則対象外(一部例外あり)
Comprehensive(車両保険)自分の車+相手の車・財物対象

重要なのは、すべての車に付いている強制保険(CTP/グリーンスリップ)は、人のケガを補償するもので、車の修理代はカバーしないという点です。

「相手は強制保険に入っているはずなのに車を直してもらえない」のは、この仕組みのためです。車の修理代を相手に求めるには、別のルートが必要になります。

もうひとつ大切な原則があります。相手の保険会社に、あなたが直接「保険金を請求」することはできません

あなたと相手の保険会社の間には契約がないからです。

相手の保険会社は、あくまで「契約者(=事故の相手)の代わり」に対応するだけです。とはいえ、相手の保険会社と交渉して損害の回収を進めることは可能です。

相手が保険に入っている場合

相手が対物賠償または車両保険に入っているなら、相手の保険会社の連絡先と請求番号(claim number)を聞き、「あなたの契約者に対する損害がある」と連絡して交渉します。

相手の保険会社が査定や修理、代車を提案してくることもありますが、提示された条件をそのまま受け入れる義務はありません。内容をよく確認しましょう。

交渉が決裂した場合でも、一定の条件(自分が無保険で、相手が保険に入っている、または相手が死亡・行方不明など)を満たせば、AFCAに「無保険第三者請求」として申し立てられる場合があります。

ただし請求額に上限があるため、対象になるかは確認が必要です。

相手が無保険、または逃げてしまった場合

相手が車両保険に入っていない場合、車の修理代は相手本人に直接請求することになります。

まずは修理見積もり(複数の整備工場から取ると金額の妥当性を示しやすい)を添えて、レターオブディマンド(正式な請求書)を送ります。

支払いに応じなければ、州の少額裁判所やトライビュナル(NSWならLocal Court少額部門やNCAT、VICならVCATなど)での手続きを検討します。

注意

正直にお伝えすると、相手に資産や収入がなければ、裁判で勝っても回収は難しいのが現実です。

手続きにかかる手間・費用と、回収できる見込みを天秤にかけて判断することが大切です。

過失割合(at-fault)に納得できない場合

「自分は悪くないのに、過失があることにされた」「五分五分と言われたが納得できない」——過失割合の不服も多いご相談です。

オーストラリアでは、過失は基本的に「誰が道路ルールに違反したか」「誰が注意を怠ったか」で判断されます。

そして、それを決めるのは結局証拠です。

双方が「相手が悪い」と主張して対立した場合、交渉で決着しなければ、最終的には裁判所が道路ルールと証拠に照らして判断することになります。

過失割合を争うために、次のような証拠をできるだけ多く確保してください。

  • ドライブレコーダー、防犯カメラ(CCTV)の映像 ※上書きされる前に早めに確保
  • 事故現場・車の損傷の写真
  • 目撃者の連絡先と証言
  • 事故状況を描いた図、警察への届出記録

今すぐやるべきこと【チェックリスト】

  • 拒否理由・最終回答レターを書面で確保する:口頭ではなく、必ず書面でもらう
  • 保険証券とPDS(商品開示文書)を読み返す:何が対象で、何が対象外かを確認する
  • 事故の証拠を整理する:写真・ドラレコ・目撃者・警察記録を一式まとめる
  • 時効に注意する:AFCAや裁判には申立て期限があります。迷ったら早めに動く

よくある質問

英語の書類が読めず、IDRやAFCAの申立てが自分でできません。

申立て自体は本人が行う前提の制度ですが、書類の読み解きや申立ての組み立てに不安がある方は少なくありません。JACSでは状況の整理や書類の内容確認を日本語でサポートできます。一人で抱え込まず、まずはご相談ください。

AFCAの決定に納得できなかったら、それで終わりですか?

いいえ。AFCAの決定はあなたが受け入れるかどうかを選べます(保険会社側は拘束されます)。決定に納得できなければ受け入れず、裁判で争う道も残されています。ただし時効があるため、判断は早めに。

事故相手が「自分は悪くない」と言い張り、連絡も取りにくい状態です。

まずは記録に残る形で連絡を試み、証拠(映像・写真・目撃者)を固めてください。交渉で決着しなければ、相手の保険会社との交渉や少額裁判所という選択肢があります。相手が特定できる情報(氏名・住所・車両情報)を集めておくことが重要です。

まとめ:制度を正しく知れば、あきらめなくていい

  • まず「自分の保険会社の問題(ルートA)」か「相手からの回収の問題(ルートB)」かを見分ける
  • ルートAはIDR → AFCA。AFCAは無料・独立で、保険会社を拘束する力がある
  • ルートBは相手の保険会社との交渉 → 少額裁判所。CTPは車の修理をカバーしない点に注意

保険のトラブルは制度が複雑で、言葉の壁もあって、あきらめてしまいがちです。でも、正しい順番で動けば道は開けます。どのルートに当たるのか、次に何をすべきか、整理するだけでも前に進めます。

「自分のケースはどっち?」がわからない段階でも大丈夫です。まずは状況をお聞かせください。一緒に整理していきましょう。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。制度や法律は州により異なり、変更されることがあります。個別の状況については、JACSまたは各州の消費者保護当局・専門家にご相談ください。

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